2022年6月12日日曜日

事業開発職の実態と、学生への回答。

大学時代からの知り合いに、大手不動産デベロッパーで、都市開発をしているヤツがおります。理想の都市空間を実現する為に、土地の地権者と日々交渉をしております。(まあ、一言で言えば、地上げ屋です。)

彼が以前、言ってました。

「気難しい資産家の地主との交渉はキツイ。ただ俺は、必要なら靴でも舐めるぜ。だって、事業開発担当として、会社どころか地域住民の生活さえも、背負っている自負があるからな。」

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1.

ある学生から、メール経由でビジネス提案を頂きました。有難うございます。

こんな感じの出だしです。

>おはようございます。休日の早朝に申し訳ありません。現在大学2回生の者です。

>今回ご連絡させて頂いたのは少し面白い事業、企画を思いついたので、貴公子さんの
>目線からどのように映るのか、気になっていてもたってもいられず連絡させてい
>ただきました。
>無知蒙昧な文系の発案なので、よければ指摘が欲しいです。
>それでは本題に入らさせていただきます。

学生であるので、ビジネス、IT技術、IT業界の事も、まだまだ勉強中だと思いますので、提案が甘くなってしまうのは、これは止むを得ない事です。

ただ、知らないなりにも、必死に調べて、ビジネス案を考えると言う姿勢は誠に素晴らしいと思います。この辺は、社会人でも中々、出来る人はおりません。もし私が大学の先生だったら、間違いなく、「優」評価としたいです。笑

2.

さて、私自身、IT業界はエンジニア歴が長く、通算25年超です。ただ、ここ10年近くは、各種IT技術を駆使した事業開発を担当しております。毎日、血反吐を吐きながら、ビジネス案を考えております。ある意味、ゲーム感覚です。

ただ、技術的イケると確信しても、チーム組成の部分で上手く行かない事は多々あると言うか、まあ普通です。(ざっくり10本のビジネス案を企画しても、遂行まで行くのは、1本あるかないか? と言うのが、事業開発の実態だと思います。社内調整も、かなり重要です。

また、遂行まで漕ぎ着けた中で、業界内や世間にインパクトを残すのは、さらに絞り込まれ、数十本に一つだと思っております。こうした大成功まで持っていけるのは、ITの事業開発をやっていても、多分、一生に一回あるか無いか?の世界だと思います。(私も、まだ未経験です。「そこそこ上手くやった。」と言うのはありますが。。。)

3.

話を大学生からのビジネス提案に戻します。

今後就活に当たり、どの業界に進まれるのかは分かりませんが、どの会社においても、事業開発と言うのは、会社の今後10年を背負っていく業務を担う非常に重要な業務です。

就活の席では、上で述べた様な「事業開発のリアルなエグさ」を、面接官に伝えられれば、面接官視点では、「この学生は、事業開発の現場のエグさを理解していないまでも、少なくとも、エグさの覚悟は出来ている。根性がありそうなので、期待を持てる。」と言う評価はつくと思います。

まあ、ドラマみたいに、カッコ良くは行きません。私も含めて、事業開発を担当している人間は、世の中にインパクトを残す事を24時間365日考えているので(プライベートな旅行先でも、子供と遊んでいる時もです。)、ラクでは無いですが、エキサイトメントは確実にあります。頑張って欲しい。

4.

尚、頂いたビジネス提案ですが、既に類似サービスが10年前から、世の中で展開されております。→自動で繋がるフリーWifiアプリ

このJapan Wi-fiですが、便利は便利なのですが、位置情報を常にオンにする必要があり、消費電力がデカすぎると言うデメリットがあります。おそらく、アプリの作りが甘いのでしょう。

この辺の課題を技術的にクリアする事が一つ。また、10年前は兎も角、今はドコモのAhamoを含めて、大容量モバイルデータ通信の価格が下がっております。本当に、Wi-Fi需要がそこまであるのか? と言うのも、ビジネス面からの検討課題になると思います。

1 件のコメント:

  1. ご丁寧な、評価、コメントありがとうございます。
    確かに、通信費が今後更なる格安化となるかもしれない時代に、フリーWi-Fiで勝負というのは少し甘かったですね
    ここで一つ疑問なのですが、通信費を格安にできる仕組みというか企業側の考え、考察を教えていただきたいです。
    ex)例えばdocomoとかなら、通信費より携帯を売り上げる額の方が高いからそこで黒字を保てる限界まで下げられる。といったような
    無知ですいません

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