2021年7月13日火曜日

失われた30年は、40年に延びる事を確信した!

1.

まず、この記事です。日本の「お家芸」製造業、じつはここへきて「圧倒的な世界1位」になっていた…!【上半期ベスト記事】 

>世界は追いつけない。ソフトウエアーであれば、1人の技術者にデータを持ち出されてしまえば一貫の終わりだ。しかし、アナログの製造技術は、製造工程そのものという大きなアナログの枠の中に存在するので、技術者を1人2人引き抜いても簡単には追いつけない。

正気かよ!と言うのが、最初の感想です。と言うのも、30年前も同じことを、我が国は言っておりました。「鉄鋼、造船、自動車、高速鉄道、通信機器、電化製品」等に関して、「簡単にマネできるものではない。」と言っていた。

30年間と言えば、1991年であり、まだまだバブルの余韻が色濃く残っていた。当時、韓国は、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を、日本の高度成長の2倍のスピードで達成していた。しかし、これを引用するエコノミストも、どこかバカにしたところがあった。また、中国の経済成長もその兆候を見せ始めていたが、小馬鹿にした感じであった。(現在、カンボジアやフィリピンが凄い勢いで経済成長しているのを、侮っている様な感覚だったと思う。)

それが、あれから10年後の2000年には、「え、ここまで、接近してくるの?」と言う感じになり、20年後の2010年位には、上に挙げた内のいくつかの分野で完全に抜かれ始めて、2020年には、多くの分野で、取り返しがつかない位に、凌駕されてしまった。

これが失われた30年であるのに、未だに、「素材(シリコンウェハー)や産業機械の分野では、そう簡単にはいかない。」と、30年前と同じことを言っており、非常にバカっぽい。

一見、こう心地よい言葉を吐いて、安心をしたいのだろうが、そんな甘いものではない。

2.

上の1の記事内で、我が国の「アンパイな技術」として挙げられているシリコンウエハーであるが、こちらの記事では真逆な事が書いてあります。

輸出規制が促した韓国の半導体素材「国産化」

>韓国は国産化と輸入先の多角化を急ピッチで進め、昨年秋口あたりから国産品への代替が始まった。ディスプレイでは半導体ほど高純度のものを必要としないため、まずLGディスプレイが国産のフッ化水素に切り替えた。サムスン電子も19年9月、半導体製造工程の一部に国産品を投入し始めたと発表した。日本からの調達が難しくなったため、国内企業と協力して国産化に取り組んだ。従来、日本から輸入していた高純度の液体フッ化水素を用いてエッチング剤を精製していたソルブレインなどの企業が、中国や台湾から液体フッ化水素を輸入し、生産に乗り出した。確かに、純度は日本製よりは低いと思われるが、半導体の生産に支障が出ていないことを考えれば、かなり高純度のものになっていると言える。


こっちが真実だと思っております。別に、韓国は、「シリコンウエハーを国内生産できなかったのではなく、単に作らなかった。」と言うのが真実です。(日本から良質安価なモノが輸入可能なのに、敢えて国内生産をする必要がないと言う、国際水平分業理論に基づいた合理的な経済行動でしかない。)

消費者に例えれば、「イオンに行けば、出来合いの安くて美味しいトンカツが売っているのに、わざわざ、油まみれになって自宅で一から作る事もないでしょう。」と言うのと、全く同じロジックです。
そうであるのに、当時(2019年)、「ほら、韓国は国産技術がないから、困っている。やはり、我が国の技術は凄い。」と自己満足する我が国の能天気さに唖然としたが、今でも同じ思考である事が、正に驚き。
何度も言うが、「作れないのではなく、作ってなかっただけ」なのです。そうであるから、日本からの輸出規制を受ければ、急ピッチで国産化に舵を切る訳です。勿論、数日で追いつける程、簡単ではないが、半年とか一年で十分に追いつける程度の技術でしかない。

3.
30年前に、「日本製の鉄鋼は、中国とか韓国の鉄鋼とはクオリティが全く違う。別の製品だと思ってもらえばよい。」と、当時、新日鉄の社員が私に力説していたが、それと同じ。
鉄は鉄でしかなく、「作ろうと思えば、簡単に作れる。」訳で、実際に、2000年には、韓国企業に完全に追い抜かれてしまった。勿論、韓国は、その後、中国にもっと簡単に追い抜かれてしまった。
日本が絶対の自信があった、自動車や高速鉄道だって、中国があっという間に追い抜いてしまった。
尚、1の記事では、「ソフトウェアなんかは、一人のスタッフがコピーして持ち出したら終わり。」とか言っているが、これも違う。ソフトウェアを盗み出した所で、それを解析し、保守する力が無ければ、無力だ。(ソフトウェアは、一度、インストールしたら終わりではなくて、常に更新し続けないといけないので、ハードよりもむしろ手が掛かる。)

4.
なぜ、日本人は、こうも能天気なのであろうか?
殆ど、脳死状態であるとしか思えない。
我が国の行く末を考えると、最近は、夜も心配で眠れなくて、何度も目を覚ましてしまう程なのに、世間は、未だに「世界屈指の経済大国」と言う幻想に浸っている。このズレは、どこから生じるのであろうか?

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